夜間頻尿の原因

夜間頻尿と
夜間多尿について

夜間頻尿の原因1)

夜間頻尿の原因には、多尿(1日の尿が多い)、夜間多尿(夜間の尿が多い)、膀胱蓄尿障害(あまり溜められない)、睡眠障害(眠れない↔トイレに行く)などがあげられます。

これらには、加齢や腎泌尿器疾患、糖尿病、心不全、過度の水分摂取、脳血管障害、高血圧、肥満など、さまざまな因子が関わっています。つまり夜間頻尿の要因は1つではなく、複数の要因が重なっており、さらにその要因が相互に影響し合いながら夜間頻尿を引き起こすと考えられています。

多尿(1日の尿が多い)

1日の尿量が体重×40mL以上(例:60kgの場合、60×40=2400mL以上)の場合を多尿といいます。原因として、糖尿病、尿崩症心因性多飲症などがあります。水分の取り過ぎも大きな原因となります。薬の影響で口内乾燥があらわれ、それにより水分摂取につながっている場合もあります。

夜間多尿(夜間の尿が多い)

夜間多尿は文字通り、夜間の尿量が多い状態をいいます。24時間尿量に対する夜間の尿量の割合が65歳以上で33%以上、若年成人で20%以上の場合に夜間多尿といいます。夜間多尿の原因として、水分の取り過ぎ、 尿崩症うっ血性心不全、過剰な塩分摂取などがあります。

また、高齢者では、夜間の下垂体後葉からの抗利尿ホルモン分泌が低下し、夜間尿量が増加することが知られています。

つまり、若いうちは、尿量を調節するホルモンによって日中に尿を多くつくって夜はあまりつくらないように調節されていますが、年をとるとその調節がうまくいかなくなることがあります。

膀胱蓄尿障害(あまり溜められない)

過活動膀胱(かかつどうぼうこう、OAB)は、「急に起こる我慢できない尿意」を特徴とし、膀胱に尿が十分に溜まらないうちに急にトイレに行きたくなって、 もらしてしまうこともあります。通常の膀胱容量に比べて少ない量でトイレに行きたくなるため、昼夜を問わず頻尿や尿失禁の原因となります。

前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう、BPH)は、中年以降の男性に認められる代表的な疾患で、夜間頻尿や排尿困難などの症状がみられます。前立腺は膀胱の下の方に尿道を取り囲むように位置し、これが肥大して膀胱を圧迫し、十分な尿が溜められなくなったり、膀胱の出口部分が塞がれて排尿しづらくなったり、膀胱に尿が残ったりします。膀胱容量が減少し、頻尿、夜間頻尿の症状があらわれます。

睡眠障害(眠れない↔トイレに行く)

睡眠障害が原因で夜間頻尿になるのか夜間頻尿が原因で睡眠障害になるのかは、明らかではありませんが、互いに影響し合っていることは間違いありません。高齢者では睡眠が浅く分断されるため目を覚ましやすく、夜間頻尿につながります。

一方、加齢とともに増加する夜間頻尿のために睡眠障害を来すこともあります。睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害と関連がみられる夜間頻尿の場合は、睡眠障害を治療することで夜間の排尿回数の減少につながることもあります。逆に夜間頻尿を治療することで、睡眠障害の改善につながる場合もあります。

1)青木芳隆:臨床泌尿器科2015: 69(6): 438-443

注)

尿崩症

「尿が崩れる」と書く尿崩症(にょうほうしょう)は、まるで雪崩のように、大量の尿が流れ出るような「多尿」が特徴の疾患です。
尿崩症では、水を多く飲むため尿がたくさん出るのではなく、尿がたくさん出るため水を多く飲みたくなります。通常、成人の一日尿量は1〜2L(リットル)ですが、尿崩症になると少ない人でも3L、多い人では10L以上の「多尿」になります。
多尿により体から水分が抜けてしまうので、非常に喉が渇き(口渇)、尿量に見合う水分を摂取しないと(多飲)、脱水状態となります。
このように尿崩症では「口渇・多飲・多尿」がおきることが特徴です。腎性と中枢性の尿崩症があり、いずれも指定難病とされ、稀な疾患といえます。

心因性多飲症

ストレスや不安などの心理的な問題があるときに、多量の水を飲むことで解消しようとする疾患です。とにかくのどが渇く、水を大量に飲むなどの状態になり、たくさんの水を飲むため、尿の量も増えます。

うっ血性心不全

心臓が機能障害を起こし、血液の流れが滞ってしまう状態です。
初期症状として、むくみ(浮腫)、急に体重が増える、疲れやすい、動くと息が苦しいなどの症状があらわれることがあります。

抗利尿ホルモン

脳下垂体から出て腎臓に働きかけ、体の水分量調節を行います。
「利尿」(尿の出をよくすること)をさせないよう「抗う」(あらがう、抵抗する)ホルモンのことで、「尿を減らす」役割をします。一般的に抗利尿ホルモンは夜間に多く分泌されます。

頻尿

尿が近い、尿の回数が多いこと。
昼間(ちゅうかん)頻尿とは日中の排尿回数が多すぎるという患者さんの訴え、夜間頻尿とは夜間に排尿のために1回以上起きなければならないという訴えを指します。